アナログ・トレーニング!

デジタル世代の若者達

私はいわゆる古いプレイヤーなのだが、現在のDMプレイヤーのゲームの理解の早さにはただただ驚くばかりだ。その背景にはインターネットにおけるコンテンツやSNSの普及があり、最も大きな貢献を行っているのはdmvaultツイッターであるだろう。これらを上手に利用する事でプレイヤーのゲームや環境への理解の速さは大きく変わる。例えるなら高速と下道くらい違う。

 

だが、すこしばかり立ち止まって考えてみてほしい。これらは劇的にあなたに良い面をもたらすのだが、同時に少なくない副作用を与えかねない。その最たる例が環境トップのデッキのコピーを使用する事だけに特化したプレイヤーである。彼らはネット上で拾った流行のリストを揃えて勝利し悦に入る。ファストフード感覚でゲームを食っているのだ。

 

 

彼らは本当に強いプレイヤーなのだろうか?

・現状のカードプールとにらめっこし、誰にも思いつかないようなクリエイティブなデッキを創造できるようなプレイヤーは、どれくらいいるだろうか?

 

・地域の様々なコミュニティに顔が聞き、様々なプレイヤーと語り合う事で、ネットにも書いていない最前線の情報を常に手に入れる事ができるプレイヤーは、どれくらいいるだろうか?

 

・トレードを重ねる事で、自分のカードプールを適正に保ち、必要なカードが過不足なく手元にあるプレイヤーはどれくらいいるだろうか?

 

・切磋琢磨し合い、時にはアドバイスを送り合うような本当の意味での尊敬できるライバルと心のそこからゲームを楽しめているプレイヤーはどれくらいいるだろうか?

 

多分、多くはない。

 

手元にあるスマホPCをいじくり回しているだけのプレイヤーではおそらくたどり着けない領域だ。ところが、今の理想のプレイヤー像では、勝つ事だけが求められ、そこにあまり金銭的にも時間的にもコストをかけない事が推奨されているように思えてならない。一応断っておくがこれは私の完全なる個人的な主観だ。

 

私にはこの省エネで成果をあげることを至上とすることはずれているように思えてならない。他人の考えたリストで、自分で環境を考える事もせずに効率だけを求めた勝利にどれほどの意味があるのか?それは作業と変わらないのではないだろうか?

 

本物の強さ、本当の勝利を手にいれるには?

平凡なプレイヤーにとって最も重要なことは、今この場で勝利し、気持ち良くなる事だ。自身の能力を高める事ではない。脳みそを鍛える事でも、経験を積む事でもない。自身を高めるためには長い時間がいる。しかし、あなたの理想的なプレイヤー像に近づくためのトレーニングは確実に存在する。それはゆっくりでも、確実にあなたの資産となる。

 

そのために重要なのは原点に帰り、アナログゲームとしてのDMをプレイする事である。考えてみれば昔のプレイヤーは皆オンラインではプレイできなかった。カードを持ち寄って試行錯誤しながらプレイをひたすらに続けていた。そういったプレイヤーが今の最先端のプレイヤーに著しく劣ると思うだろうか?私は思わない。今いる強豪プレイヤーたちもおそらく子供の頃に、あるいは現在までのところで無意識に下地や基盤をアナログ環境の中でしっかりと培ってきたのではないかと私は考えている。DMが対人戦のアナログゲームである限り、この基盤は必ず必要になると考えている。

 

アナログ・トレーニング

さて、実際に強くなるための指標をここに書き記そうと思う。ここで紹介するのは、私が特に重要と思うものだ。トレーニングステップを進めていく時の注意点として大きな項目から詰めていく事が重要である。極論プレイングを突き詰めていくのは最も局所的なトレーニングである。それは、デッキを作る事、環境を理解する事、選ぶことを飛ばしているからである。

 

理想のプレイヤー像を描き、己を知り、目標を作る

まずはじめに、自分がどんなプレイヤーになりたいのかを描く事から始める。

 

私の場合はDMというゲームを研究することがもはやライフワークであるため、

 

①ゲームを続けていくために、一緒にプレイする仲間を作り、極力仕事が休みの日や趣味の時間にカードに触れられる環境が整っている事。

 

②ゲームの理解度を上げる事、自分の能力スキルを高める事。その成果を記事として発信する事。

 

③DMを通じて、コミュニケーション能力や発信力などゲームにとどまらない成長をすること。

 

④コレクターでもあるので、適正価格でカードプールをケアし続ける事。

 

これは珍しいと思うのだが私はCSなどの大会で勝つ事を重要視していない。ある意味では参考にならないかもしれない。だが長年プレイを続けてきた中で自問自答し続けた結果である。自分でも意外であるが勝ち負けよりも他のことにこだわり、そちらの達成に喜びを感じる。なお、結果にはこだわらないが最強のプレイヤーになりたいとは強く思っている。生粋のトレーニングオタクなのかもしれない。

 

自分の理想を明文化するというのは想像以上に難しい。そんな時はまず自分がどういうプレイヤーなのかを整理し、己に問いかける事から始めることを進める。例えば、週にどれくらい時間が取れるのか。お金はどの程度つぎ込めるのか。何が得意なのか。なぜ自分はDMが好きなのか。人によって答えは変わってくるはずだ。それらから目標を立ててみれば良い。

 

目標を立てるコツは期限とゴールを設定する事だ。1年間でCS優勝何回とか、勝率を設定してみたり、フォロワーを何人増やす、ブログアクセス数を稼ぐなんてのもアリだ。目標を達成することは、なんとなくでつかんだ勝利より、ずっとあなたにとって価値の高いものになり達成感もより高いものになる。その積み重ねであなたはより強くなる。

 

理想像を描き、繰り返し繰り返し、目標の再設定を行う事で、あなたは最短で本当に望む結果を手にいれる事ができる。不言実行はその日の結果次第の行き当たりばったりでしかない。強い男なら、有言実行だ。

 

コミュニティに参加する、作る

次にコミュニティに所属する事が重要なトレーニングだ。これはDMは相手がいないとできないゲームだからだ。直接会ってプレイできる友人を得ることは、単純にゲームに強くなるよりずっと重要な事かもしれない。気の合う友人を得る事はあなたの人生に潤いと活力を与える。

 

まずは、休日に一緒に遊べる友人を一人作ろう。方法は色々有る。ツイッターなどのSNSで探すこともできるし、大会で対戦した相手に聞いてみてもいい。もっといえば、暇な友達にDMを始めさせる手もある。最低限相手がいればゲームはできる。

 

とはいえ、最初の一歩が一番難しいことも良くわかるので、焦らず頑張ってほしい。知り合いが増えていくたびに、芋づる式に紹介を受ける事ができるので、顔の広い人に最初から頼んでみるというのも手だと思う。そういう人は例外なく人当たりがいいので、無碍にはされないだろう。

 

注意してほしいのは、コミュニティは必ず会える範囲で、もしくはすでに顔見知りで仲が良い範囲内で考えてほしいという事だ。フォロワーがたくさんいても所詮表面上の付き合いなので本当に有益な情報を得られる事はほとんどないし、画面上の人は良くも悪くもあなたにほとんど影響を与えない。

 

カードプールに触れる、創造する

オンラインにおけるカードの検索機能は非常に便利である。しかし、特定のカードを探す事には長けるのだが、新たな知識の獲得には向かない。リストを作る時もそうだ。最もイメージが湧くのはカードを見て触っているときだと私は感じている。なのでリストのアイデアがほしい時は極力カードに触っている。自分のカードプールや友人のカードプール、店頭のショーケースやストレージ。なければひたすらリストとにらめっこだ。地道な努力でしか知識は増えない。誰も思いつかないアイデアは一見無駄なものに見える中に常に潜んでいるものである。

また、特定のプレイヤーに長く触られているリストはある意味信念のようなものを感じる。すごくカッコよく見えるのだ。これはあまりにオカルトすぎるだろうか?私は楽しく感じるので多少のオカルトは肯定派だ。

 

環境を把握する

これはデジタルに譲る面が大きい。様々な大会結果の集計や一般的な流行度、サンプルリストなどが瞬時に手に入る。しかし、アナログの最も大きな利点としては、知り合いのプレイヤーの分析を知る事ができる事であろう。知識の共有、すり合わせを行う事で環境への理解度がより精緻になる。互いの引き上げにもなるし、別のプレイヤーの視点というのは自分では気がつかないことを発見する大きなチャンスだ。同じデッキ分布を見ても見立ては一人一人異なるのだから勉強させてもらおう。

 

真剣勝負の感覚を身につける

デジタルで回す事は数多く回す、プレイの確認には最適である。しかし、何度でもボタンひとつでやり直しができるというのは真剣勝負からは大きく離れる。人間は簡単にミスをする。それはプレッシャーからかもしれないし、視覚情報のズレからかもしれない。本番に強いというのはとても重要だ。本番は真剣勝負。ミスは1度も許されない。ならば、本番とおなじ状況で経験を積む事は大きく意味がある事なのだ。人間は慣れる生き物であり、経験はそのまま力に直結する。百戦錬磨はプレイの仕方が、カード捌きが、座り方が、挨拶が全て堂に入っているものだ。

 

人に伝える、発信する

わたしが重要と感じているものに人に説明をする、人と語り合うというものがある。これは君のプレイヤーとしての存在価値を何倍にもしてくれるものである。どんなに勝ちを重ねているプレイヤーでも、一方的にコミュニティから利益を享受するだけではいずれ愛想をつかされる。何かをもらったらお返しをするべきだし、わかりやすく伝えようとする事で自身の理論が体系化され理解が深くなる。尊敬されるし、発言力もつき、影響力が上がる。場合にもよるがそれは勝つ事よりもよっぽど価値があると私は思う。その範囲はDMにとどまらない。学業、仕事、生活全てにおいて必要なスキルであり、極めればこれだけで飯が食えるし、人間としての格も上がる。

 

そして何より、これを実践するにあたりコストはタダだ!意識してやっていないのであれば、いますぐやるべきだ。

 

最後に

デジタルは確かにすごい。オンラインゲームによって受けられる恩恵は計り知れない。しかし、だからと言ってアナログゲームが衰退する事はない。ようはバランスなのだ。私は別にデジタルを否定するつもりは全くない。基盤があるプレイヤーが上手に使う事によってそれは強大な武器になる。しかし、人が武器に使われてはならない。常に使う側でいる事こそが、今の時代のプレイヤーに求められているように感じてならないのだ。