終わりを考えることから始める。

 

あなたは自分が引退するときのことを考えたことがあるだろうか?

 

勝てなくなったとき、飽きたとき、就職するとき、結婚するとき、タカラトミーが販売をやめたとき、それとも自分が死ぬ直前まで何らかの形で関わっているだろうか?

 

 

このエントリーではいつ引退するのがベストであるとかそういうことを言いたいわけではない。

 

少し想像してみてほしい。もしあなたが引退することになったとしてそのときあなたは周りのプレイヤーにどんなプレイヤーであったと言ってほしいだろうか?どういう評価をしてほしいだろうか?

 

その評価こそ本当にあなたがdmを通じてなりたかった姿であると思う。

 

例えばビルダーとして常に新しい発想をコミュニティ内に吹かせてくれた。

例えばプレイヤーとして常に頂上に君臨し続けた。

例えばリーダーとしてコミュニティを形成し、あるべき方向へ導いてくれた。

例えばライターとして情報を発信し続けてdm界全体のレベルを引き上げようとした。

例えばジャッジや運営としてdmというコンテンツを盛り上げてくれた。

 

それこそがあなたのdm人生のゴールであり最終目的に他ならない。それはあなたの内面にある一番大切な価値観なのである。そこから逸脱した修練や行動は無駄とまでは言わないが効率的とは言えないだろう。終わりを考えることから始めるのは目的地をはっきりさせてから歩き始めることに他ならない。

 

こんな話をご存知であろうか?

物事に取り組むというのは梯子を登るようなものだ。あなたは効率よく梯子を登ることができるかもしれない。素早く登ることができるかもしれない。だが一生懸命せっせと梯子を登っているつもりでも、一番上に到達して初めて自分が登りたかった場所ではないところに梯子が掛けられていることに気がつく。結局はあなたがやっていたことはほとんど意味のないことだったのだ。

 

 dmというゲームは強くなるという漠然とした誰もにとっての目標が与えられている分、自分にとって本当に大切なものを意識することが少ない。自分にとって本当に到達したい姿を知り、そのイメージ通りになるように経験を積んでいけば毎日の過ごし方もかなり違ったものになるはずだ。

 

終わりを考えることから始めることこそ、本当に効果的な一歩を踏み出すためのコツなのだ。

 

 

何もCSで優勝し、刃鬼やダイハードを取ることに意味がないと言ってるわけではない。それは多くのプレイヤーにとって一つの通過点、指標には違いない。ただそこを漠然と目標にする前に考えてほしい。あなたの本当の目標はその先にも必ず続いているはずなのだ。

 

リーダーシップとマネジメント

今考えてきたのはビジネスにおけるリーダーシップとマネジメントの違いだ。リーダーシップは今行っている仕事が正しく目指す目的に向かっているか、目的に沿って行われるかにフォーカスしている。マネジメントは作業自体がいかに効率よく行うかにフォーカスしている。

 

dmのチーム(チーム戦のチームではなく調整コミュニティの意)で例えるとマネジメントの役割はみんなを仕切って役割を与える。いかに効率よく情報を収集し、環境を分析し、デッキ選択をして、調整をしていけるかを考える。一方、リーダーの役割はそのコミュニティがどういう目的を持っていて何を目指しているかを考え、それに沿ってチームが機能しているかを考える。

 

互いのプレイヤーとしてのレベルを引き上げ、高め合うことを目的としたチームがあったとしよう。マネージャーがすごく優秀でここ最近のCSでチームメイトを上位に送り出しbest4にも何回も入っている。だがそのマネジメントの実態は一番経験のあるプレイヤー数人にカードをかき集めトップメタを握らせたり、その人の調整に重点を置いて他の人の調整がほとんどできてないものだ。一部のトッププレイヤーが握るデッキ以外は議論も活発には行われず、まだ環境外のデッキを使っている人は勝手にしろと言わんばかりの状態だ。リーダーはこれでは下のプレイヤーが育たない。いつか人が離れてコミュニティ全体のレベルが下がっていくと叫んでも、役割に追われて効率しか見ていないマネージャーやチームメイトだったら次のように反応するだろう。「黙ってろ、結果は出しているんだから俺たちは正しいんだ」と。

 

これはコミュニティ単位での話だが個人の場合でも同じことが言える。その場合は一人でリーダー役とマネージャー役をこなさなくてはならない。パーソナルリーダーシップを発揮することも目的達成には極めて重要だ。

 

効率よく結果を出すことにこだわるばかり自分がどんな結果を望んでいるかを人は度々忘れてしまう。おそらく意識すらできていない人の方が多いだろう。環境が目覚ましく変わるTCGにおいて目的地に到達するために必要なものは精密に描かれた地図ではなく正確に目的地を指し示すコンパスである。そうすれば周りの環境がいくら変わったとしても最短距離で目的を達成することができるだろう。

 

自分のミッションステートメントを作ってみる

そうはいってもパーソナルリーダーシップをいきなり発揮することは難しいだろう。そういう時は個人のミッションステートメントを作成して、書き出してみるのが非常に効果的だ。

 

ミッションステートメントとは理念や信条のことだ。どのようなプレイヤーになりたいのか(引退した時に周りからどのような評価を受けたいか)、何をしたいか、自分の価値観や優先順位を書くと良い。

 

これは例え何年経とうとも、どれだけカードプールが変遷しようとも変わることはない。環境が変わったとしてもこのミッションステートメントに沿って新たな目標が打ち立てられるだけである。

 

参考までに私個人のミッションステートメントを書いておく。

まず楽しむこと。あくまで趣味の範囲なので辛かったり、何か不利益を受けることがあれば一旦自分から離れること。

またコミュニティを通して良い関係を築くこと。互いに良い影響をあたえられる関係になっている人を増やしていきたい。その人たちはきっと人生でかけがいのない友となるだろう。

根拠を必ず持つこと。原則に沿った物事の考え方をして、根拠のないオカルティックな発言に惑わされたりしないこと。なんとなくを作らない、気になったことは必ず根拠を持った上で答えを出すこと。

絶対に不正はしないこと。プレー中はお互いが気持ち良くプレーできるように相手を思いやり、誠実でいること。

dm界全体を盛り上げること。販売元に依存しきっている状態ではなくプレイヤーのレベルであったり、マナーの良さであったり、販売されているカード自体の面白さだけでなく我々プレイヤーの力で評価されるようなコンテンツに成長していってほしい。そのためには一人の力では絶対になしえないので良い関係の輪を広げて行き影響を与えていきたい。

成長をすること。趣味の範囲ではあるがdmを通じていろいろな経験をして、それを人生の他の場面で役立てられるようなスキルとして身につけていきたい。

 

ミッションステートメントがしっかりと作成できれば目標は簡単に作成することができる。

目標を作成するコツは

  1. 期日がある
  2. 達成できたかどうかがジャッジメントできる
  3. 達成するためのリソースがある
  4. 現状をよりよくするものである、意欲的なものである。

いつまでに達成するということは必ず決めておこう。目標を設定した期間内に終了させることは効率の上で重要だ。だらだら続けているだけなら時間の無駄だ。

 

必ず達成できたかどうかはっきりわかるように設定しよう。ただ単に強くなるというのは達成できたかどうかがわからない。苦手な人は数字を使おう。今年中にcsに5回出る、ベスト8に入るなど数字は他者と認識がずれないので正確に測る物差しになってくれる。

 

自分が現実的に達成可能であるかどうかを考えよう。例えばdmを始めたばかりで人脈も資産もプレイングもない人が1ヶ月後のcsの優勝を目指すというのは目標として成り立たない。自分にその目標を達成するための下地があるかを考えてみよう。まだ下地がなければ下地を作ることを目標にすれば良いのだ。

 

目標が現状より下がってしまったり維持を目指すものであってはダメだ。必ず達成した時に今の自分よりレベルアップできるかを考えて欲しい。しかし、時間のリソースの関係でこちらに取り組むとこちらのパフォーマンスが下がるという場合もあるだろう。その時はどの程度下がるのかを考えてみるといい。

 

参考までに私の目標をいくつか書いておく

  • 今年以内に120以上の個人戦トーナメントで優勝すること。(結果を出すことで認知度を上げて知り合いを増やす。また発言の影響力、発信力を上げて共感してくれる人を見つける)
  • 今月のブログの月間vew15000を目指す。
  • 来月のcsの前に環境考察を完成させておく。

自分の中心を考える

ミッションステートメントを書きにくいという人は自分が何を中心にしてdmをしているかを考えてみよう。もちろん以下のどれか一つだけに該当するということはなくいくつかが複合した上でそれぞれの割合によって決定されるだろう。

 

プレイング中心

プレイをミスしないことに最上の喜びを覚える。デッキの最大パワーを引き出すことができる自信があったり、そうでありたいと思っている。自分よりプレイングが雑なプレイヤーに運の要素で負けることが許せない。

 

ビルディング中心

新しいデッキタイプを生み出すことに喜びを見出している。環境に合わせた構築よりそのデッキタイプが出せる最大限のパワーを引き出す構築をしてあげたい。トーナメントは自分の作品のお披露目会であり、自分の作成したデッキが広まればいいと思っている。

 

環境リーディング中心

環境を読んでそれに対する解答を作ることに楽しみを見出している。デッキセレクトと調整に関しては自信がある。デッキ本来のパワーだけに頼らず自分で選んだメタカードで勝っていくのが楽しい。

 

グッドゲーム中心

互いに実力を出し切れるゲームを楽しむのが好き。ギリギリの勝負がしたいと思っている。どちらかが一方的に勝つのはつまらない。逆転するのが最高に気持ちいい。

 

コレクト中心

資産を増やすことが好き。高額プロモや各種4枚ずつ有用カードをセットで揃えるなどカードを集めるのがとにかく好き。当然自分のデッキで使うカードにもこだわりがある。

 

お金中心

お金を稼いだり、稼がなくてもいかにお金を使わずに安く効率良くカードを揃えるかを常に考えている人。100円でも常に安く買いたいという気持ちが非常に強くあの手この手を駆使する商売上手。

 

コミュニティ中心

自分の所属するコミュニティが良いものでありたいと思っている人。コミュニティの評判が下がることを嫌い、自分より高次の人間とつるみたいと思っている。コミュニティから嫌われることを最も恐る。

 

権力中心

高い評価が自分に対して向けられていることが嬉しい人。大勢の人から一目置かれて好かれたいと思っている。大手になりたいという欲が強く、初心者と関係を持つより上級者と関係を持ちたいと思っている。

 

まとめ

いかに上手にdmをやっていくかではなく、何を成し遂げたいかということことを考えて是非成し遂げて欲しい。

そのためには終わりを思い描いて自分がどういうプレイヤーになりたいかを思い描くこと。そしてそれを日々実行していくためのプロセスを作るシステムを組み込むことが重要であると思う。