イニシアティブ【initiative】
1 物事を率先してすること。首唱。先導。「日本の―で国際会議をすすめる」
2 主導権。「業界で―を発揮する」「交渉の―を取る」
こんばんは。みなさんゴールデンウィークはいかがお過ごしだったでしょうか?
私個人としては、この大型連休中にCSに2つ出ることが出来て大変満足しております。
(8-4予選落ちと3-2予選落ちで結果は散々でした……)
使用したのはマークロループで使用感としては、最大母数である《next》をはじめとする、《red zone》やループしない《サソリス》などのビート系統のデッキタイプにはとても強かったです。また、アナカラーに対しても悠久のおかげでLOされる心配も無く、ビートプランを取られても盾との勝負になるため大きく有利がつきます。
その反面《黒単》や《青黒ハンデス》などのハンデス系統、シャッフやダイヤモンドソードを搭載した《イメンブーゴ》や《サザンルネサンス》の前には簡単に沈みます。《天門》に関してもドラゴンズサインからドラグナーを展開するタイプに対してはかなりの不利対面を強いられます。
まぁ、自分なりに環境母数を分析して、環境読みを行いデッキ選択を行いました。
横浜CSの環境予想としては以下の数値で設定しておりました。
next 15%
サソリス15%
アナカラー10%
バイク10%
ベアフ8%
刃牙7%
黒単7%
イメン7%
天門6%
その他15%
こちらの母数で算出すると有利がつくデッキが合計で65%を見積もっていました。またその他(ローグ)の内10%のデッキがビート系統のデッキまたはパワー不足のピーキーなデッキである事を加味して有利対面は65%〜75%を占めると仮説を立てました。
dmのゲームは度々有利対面不利対面が覆るゲームです。なので実際対面した時の平均勝率を感覚ですがおおよそ8割とすると1ゲーム毎に期待できる平均勝率は52%〜60%となります。これは全て机上の計算ではありますがこの通りであればマークロループは十分なポテンシャルを持っており、勝てるデッキであると確信し選択をしました。
(勝てないデッキタイプには逆立ちしても勝てないので当たり運も重要だと思います。こればっかりは数回のトーナメントではどうしても偏るので神に頼むしかありません)
以下が実際の横浜CSの環境母数であります。
バイク18%
サソリス16%
next11%
黒単7%
アナカラー7%
イメン5%
ベアフガン5%
デリート4%
刃牙4%
天門4%
その他19%
《next》と《red zone》が大きく入れ替わり、他の母数が下がり《デリート》とその他のデッキが予想より存在しておりました。同じ様に計算した結果48%〜58%と誤差の範囲に収まったかなと思います。
予選を抜けられなかったのは残念でしたが環境母数もおおよそ読み通り、プレイングも自分で反省した限りではミスがなかったので、単純に不利対面のマッチングが想定より多かったのと盾との勝負でダウンスイングしたのが敗因かなと思います。
また今回のフォーマットは対戦相手と2回対戦し、ポイント数で16人進出という少々特殊なものでした。
先攻後攻は1本目がジャンケン、2本目が負け先と2勝するためには必ず後攻を取らなければならないので、速度差で先に仕掛けることで優位が生まれるアグロ系統のデッキが若干不利な形式でした。
この事を加味して本戦の環境予測をするといくら母数が少ないとはいえ、《マークロループ》が勝つことの難しい完全不利対面である《黒単》や《天門》が勝ち上がってくる事が予想できました。その点についてはもう少し考察しておけば良かったと反省しております。
さて、前置きが長くなりましたがようやく本題に入ろうと思います。
この数週間《マークロループ》を触っていて気が付いた事があります。
それは完全受け身なデッキタイプは、本来dmというゲームにおいてデッキの構造が最弱なのではないか?という事です。
よく私の周りのプレイヤーは「メタカードは弱い」と口々に言います。
私は「何をいってるんだ、こいつらは???本来不利対面であるリストに対して、数枚枠を割けば勝率を上げられるメタカードが弱いわけないだろ??ジョーダンキツイぜ!!」と思ってました。
しかし、最近になってこの人達が言いたかったのは「自分のデッキの動きを優先するカードの枠を削ってまでメタカードを入れようとするのは間違っている」と
こういう事だったのではないかと今では考える様になりました。
このことに気が付いたのはこちらのmtgの翻訳記事を読んだ事も深く関係していると思います。
この記事には色々な要素が詰まっており、簡単に要約する事は出来ないがあえて一言で表すならば「全部にある程度の勝率を上げられるいわゆる丸いデッキよりも、特定のデッキ群に対して高い勝率を上げられるいわゆる尖ったデッキの方が全体で見た勝率は高くなる」ということではないでしょうか。
その為にはメタカードを積んでデッキを丸く構築するよりも、デッキ特有の動きを安定させることこそが重要であるとこの記事では説いています。
そこで今回私が思いついた疑問。
それは実際の勝率はともかく、構造上一番安定していて強いデッキとはなんなのだろうか?という事です。
結論から申し上げますと冒頭で記述したイニシアティブの取れるデッキが構造上最強のデッキであると仮説を立てました。
言い換えると主導権を取れるデッキ、相手より先に有力なプランを押し付けてゲームメイクを行う事ができるデッキという事です。
最近私が使っていた《マークロループ》というデッキはゲームメイクを一切行う事が出来ません。
アグロ系統のデッキに対しては速度の関係で基本相手が作りたい盤面を作り切ってから殴られ、そこからストップ系トリガーでターンを貰い、増えた手札でループキルを行う逆転パターンしか持ちません。
もし仮に、相手にこちらのプランを押し付けられる場面があるとすれば、次ターンでループに入れる場合にその直前の相手ターンがラストターンになるわけですから、強制的に相手にキルプランを取らせるといった事だけでしょう。
コントロール相手であれば、リソース合戦に勝利した方が強力なフィニッシュ手段を叩きつけて勝つだけでしょう。
つまりこのデッキはこちらの取れるアクションで相手のアクションを制約する事は一切できないのです。
ではイニシアティブ(主導権)が取れるデッキとはなんでしょうか?
1つの解答として極めてイニシアティブが取りやすいデッキとして《red zone》が挙げられます。
例えば最速でトップギアを出された時に貴方は除去札をもっていたとします。
これは当然マストカウンターなので貴方は除去札を切ります。貴方は相手の召喚というアクションに対して除去をキャストするという行動しかとれない様に相手に動きを縛られています。そのせいで本来出来るはずであった行動が出来なくなり、勝利へ近づく事がこのターン出来ませんでした。
これにおそらく反論がある方もいると思います。「一対一交換で相手のトップギアを潰したので相対的に相手の速度が下がってアドバンテージを取れている」といったような意見が挙げられると思います。
確かに損はしていないですね。でも得もしてないんです。
そして貴方がもしメタカードとなるその除去札を引けていなかったとすれば、それは相手の大きなアドバンテージに繋がりそのまま敗因になってしまいます。
もっと分かりやすいのは盾をフルパンした時。相手は盾が0枚ですので盤面の脅威を全て取り除くか、もしくはそのターンをキルターンとしなければなりません。アドバンテージを稼ぐというミドルゲーム特有のプランを相手から奪う事が出来ています。この様に自分の意思でミドルゲームからエンディングに移行できる《red zone》は極めて主導権を握りやすいデッキとなります。
dmデッキは48枚で構成されており、全ての局面に対応する事はもちろん出来ません。実際の勝率はともかく戦術的に後手に回った時点、対応しようとした時点でそのデッキは構造的に劣っていると言わざるを得ないでしょう。
ここが多くのプレイヤーがメタカードが弱いと感じている原因なのではないでしょうか?
アナカラーはアンチred zoneとして生まれました。確かにred zoneに対して高い対応力を持っており、かなりの勝率を誇ります。しかし、最強のデッキと聞かれれば大勢の人が首をかしげるでしょう。それはデッキのもつプランの力がとても弱く、安定力も低いからです。相手の選択肢を奪う様なプランをハンデスしか持たず、基本的に着地した相手の脅威をデッドゾーンで裁く、相手の動きに対応する後手に回ったデッキコンセプトだからです。
現在の環境のデッキでイニシアティブが取りやすいデッキを私なりにまとめてランキング化してみました。よかったら参考にしてください。
- red zone
- next
- ベアフガン
- サソリス
- ヘルボロフ
- イメンブーゴ
- アナカラー
- 天門
- 刃鬼
- マークロループ
ベアフガンが構造上強いデッキであるはずなのに勝率がイマイチなのは、プランが1つであり比較的単純なのに比べて、対抗となるメタが環境上に沢山あり一枚で封殺されがちなためではないかと思います。いくらマウントを取りやすくても一枚で簡単にひっくり返されるようであればそれは強いデッキとは呼べません。
マークロループは構造上非常に弱いデッキですが、ループを封殺できるカードが非常に少なく、ハンドレスの状態からでもビート相手であれば盾からドローソースとストップ系トリガーを踏ませるだけでそのままループに入れるためビートの多い現環境において安定した勝率を上げる事が出来ています。
基本的に出来るだけ脅威的なプランを、出来るだけ相手より早くぶつける事のできるデッキが私の考える構造上強いデッキであります。
しかし、カードはコスト論によってデザインされるため早くぶつけようとすればデッキパワーが下がる矛盾が発生します。そのためカードパワーの高い一枚や複数枚のシナジーで相手のプランを崩し、今度はより脅威的なこちらのプランをぶつける事こそがコントロールやクロックパーミッションなどの速度の遅いアーキタイプのメインプランとなります。
結論
- デッキの構造的に強いデッキは相手より早く自分のプランを押し付けて相手のプランを奪える、イニシアティブ(主導権)を取る事のできるデッキ。
- 全てのデッキに丸い構築にするよりかは自分の取れるプランをより強力に、安定させる方が勝率を上げる事ができる。
- メタカードは弱くないが、デッキの性能を落としてまで入れるのであれば入れない方が良い
いつも通りめちゃくちゃ分かりにくい記事になってしまった……